本「養老先生、病院へ行く」を読みました。

ごきげんよう 

先日、森村誠一さんの「老いる意味」を読みましたが、今度は、養老孟司さんの「養老先生、病院へ行く」を読みました。
こちらも本屋さんでは、よく売れている本の棚に置かれていました。
なぜこの本を購入したかと言いますと、「老いる意味」を購入した時に、すでに目にしていて気になっていました。なぜ気になるかと言いますと、養老先生の壁シリーズを読んでいますし、先日書きましたが小樽絵本・児童文学研究センターではセミナーの講師もされている方で、私には関わりがいろいろある先生なのです。
また、本の帯には、『養老先生流「人生」と「死」への向き合い方』と書かれていて、先生に何があったのかと思いましたし、先生はなぜ病院嫌いなのかというのも気になり、興味津々で読みました。

[目次]
第1章 養老先生、心筋梗塞から生還  病気はコロナだけじゃなかった
第2章 教え子医師が心筋梗塞を発見  養老先生、東大病院に入院
第3章 養老先生の病院嫌いの本当の理由  なぜ「医療」と距離をとるのか?
第4章 養老先生から学んだ医療の限界と可能性  なぜ病院に行くべきなのか?
第5章 現代医療の矛盾と人間的医療 養老先生、どうして病院に行くのが嫌いなの?

第1章と第3章が養老先生の著、第2章と第4章は、東京大学の後輩の医師の中川恵一先生の著、第5章はヤマザキマリさんが加わり3人の対談となっています。

2020年6月、26年ぶりに東大病院を受診し、心筋梗塞が発見され、入院治療されました。
第1章は、この時のことが書かれています。ネットにも本文抜粋を含めて紹介されていましたし、無事退院しましたので、入院治療に関して記することは省略します。

私が気になったところは、

一つ目の気になったこと:
病院嫌いで、治療はストレスになるそうです。

「検査を受けなければ、病院に行かなければ、がんがあるかどうかわかりません。・・・私のような病院嫌いは、検査を受けないほうがいいと思っていたのです。・・・がんであれば、家族は放置を認めないでしょうから、放射線治療くらいはやるかもしれません。手術はストレスが大きいので選ばないでしょう。抗がん剤もストレスが強ければやらないと思います。・・・ただでさえ楽ではない治療に余計なストレスがかかります。ですから、医者選びは大事なのです。」

ストレスの文字がたくさん登場しました。養老先生もストレスが嫌いなんだと思いました。
それと、病院嫌いで、がん検診も受けたことがないそうです。
私も病院は好きではありませんし、普通の人より全然病院にいきません。クリニックも同様です。ただ、健診やがん検診は勤めていた研究所で毎年行っていました。そこは養老先生とは違うところです。因みに、研究所の健診では身体の異常を発見されたことはありません。
ただ、60歳をすぎてから、コレステロール高めとなりましたが、しょうがないかなと思っています。(女性は高くなるのです)また、感音難聴になった時は、聴力検査がNGとなりましたが、、、。

養老先生のようにストレスになるというのはよくわかります。
私も同じです、それも60歳をすぎてからですが。
研究所の健診の時期になると、めんどくさいなあ、順番待ちもいやだなあと思い、そう思いながら健診を受けると血圧が高くて、「もう一度測りましょうね」、と言われてしまいます。
家で血圧を測ると問題ないので健診を受けたくないことがストレスになって高くなるのかなと思いました。
感音難聴でMRI検査を受けましたが、その時もストレスがいっぱいでものすごく疲れて帰ってきたことを思い出します。

二つ目の気になったこと:
医者選びのことについては、こう書かれていました。

「医者選びの基準は「相性」です。・・・もう一つ、医者選びは自分と価値観が似ているかどうかも重要です。・・・こんな私と相性や価値観の似た医者というのはあまりいないのが、中川さんはその期待に応えてくれたと思います。
しかし、できることなら病院に行きたくないという思いは変わりません。」(中川さんとは東京大学の後輩の医師の中川恵一先生のことです)

これは私も同感です。相性、価値観は大事だと思います。
相性といえば、年が明けましたので一昨年の12月になりますが、初めて行った歯医者さんは相性が悪く、3回通ってまだ治療が終わっていなかったのですが通うのを辞めてしまいました。この時だけでなく、末永く通いたい歯医者を探していたので、この先生は無理と思い、早々に失礼させていただきました。
以前、通っていた歯医者さんはとても気に入っていたのですが、訪問診療をするようになり、外来は大幅縮小となり、予約が取れなくなり、新しい歯医者さんを探していたのですが、残念です。
60年以上生きてきて、お医者さんで嫌いだと感じたのは初めてでした。
今でも何がいやだったのか語れますが、具体的な話は長くなるので書きませんが、患者が主役ではなく、先生が主役になっている状況がとても不愉快に思ったのです。患者の気持ちを考えていないお医者さんは、今時には珍しいと思いました。

三つ目の気になったこと:
データよりも身体の声を聞くことが大事と言います。

「では、医療における統計を否定すればよいのかというと、そんなことは不可能です。そう願ったとしても、過去の医療に戻ることはありません。現在、病院に行くというのは、この医療システムに完全に取り込まれてしまうことなのです。これが、2020年6月に、病院に行くべきかどうかで悩んだ理由です。・・・私がさんざん悩んだ末に病院に行くことにしたのは、体調が悪くてどうしようもなかったからです。・・・それが身体の声だったのでしょう。」

「これからも、身体の声に耳を傾けながら、具合が悪ければ医療に関わるでしょうし、そうでないときは医療と距離をとりながら生きていくことになるでしょう。」

おこがましいのですが、私も身体の声を意識しているように思います。身体の声を感じたら、原因を考えるとともに、無理をせず休む、それと睡眠を多く取ります。大抵の場合は、それで解決します。

私は、基本的にはホメオスタシスを信じています。私の体調不良は、ほぼほぼ自律神経系のものだと思っています。ですから、まず休養です。

ホメオスタシスとは:
恒常性(こうじょうせい)ないしはホメオスタシスとは、生物において、その内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のことである。

概説:
恒常性は生物のもつ重要な性質のひとつで生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず生体の状態が一定に保たれるという性質、あるいはその状態を指す。生物が生物である要件のひとつであるほか、健康を定義する重要な要素でもある。生体恒常性(/生体恒常化作用)とも言われる。
恒常性の保たれる範囲は体温や血圧、体液の浸透圧や水素イオン指数などをはじめ病原微生物やウイルスといった異物(非自己)の排除、創傷の修復など生体機能全般に及ぶ。
恒常性が保たれるためにはこれらが変化したとき、それを元に戻そうとする作用、すなわち生じた変化を打ち消す向きの変化を生む働きが存在しなければならない。これは、負のフィードバック作用と呼ばれる。この作用を主に司っているのが間脳視床下部であり、その指令の伝達網の役割を自律神経系や内分泌系(ホルモン分泌)が担っている。
                                    Wikipedia より

養老先生が医療システムの中に取り込まれてしまうと書いていますが、私も同様のことを思っています。
ですから病院へ行くのは嫌いですし、これは専門化の診断や治療が必要と私の身体が言っている時しか病院へはいきません。今までそうしてきました。


養老先生の病院嫌いは、「俺だって医者だ、俺の好きなようにする。統計なんて、なんだ。」という思いからきているように思いました。
私は、医療システムの中に取り込まれるということは、まな板の上の鯉になるような気がします。そして、それは、何がどうなるのか、何をされるのか、どうしたらよいのか分からない不安でしかありません。それと、お医者さん、看護師さん、その他の医療スタッフの方々に気をつかうがストレスでしかありません。そう考えてしまいます。

養老先生は、書いています、「そもそも運がよくないと80代の半ばまで元気で生きてこられなかったはずである」、と。私も運がよくて60代後半まで病院のお世話にならず生きてこられたのかなと感謝しなくてはと思ったのでした。

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