小樽 絵本・児童文学研究センターについて

ごきげんよう

私は、小樽に住んでいた時に、絵本・児童文学研究センターに通っていました。
ここで何をしていたかと言いますと、絵本や児童文学を通して、心理学、哲学、歴史などを学んでいました。

その絵本・児童文学研究センター(以下、絵本センター)のことを紹介したいと思います。

通うことになったきっかけは、新聞に載っていた受講生募集の記事でした。
何かを学ぶことが好きで、知識を得ることに喜びを感じていた時期でした。
行きたい、行こう、と、すぐ申し込んだのは言うまでもありません。
1990年から、小樽を去る1997年まで通っていました。
因みに、私は、登録№16で1期生として基礎講座を修了しました。

埼玉県に移動してからも、通信会員になり、年一度開催されるセミナーに当日スタッフとして数年間参加しました。
その後、仕事が忙しく、余暇の時間は違うことで埋まってしまうことが多くなり、止めてしまおうか、でも関わっていたいし、正会員ではなく賛助会員になる方法もあるのかな、などと思うことがあり、その思いがいつしか悩みになっていました。絵本センターに相談をしたところ、事務局の方から、会員として籍だけ置いてはどうですかとのお話がありました。完全に離れてしまうことに未練もありましたので、そうさせてもらいました。今も毎月、絵本センターからはお便りが届いています。

絵本センターでの学びは、私の人間としての成長に大きく関わったものであり、世間知らずの私が少しは思慮深くなり、私の財産にもなりました。
また、仕事においても、定年を超えて嘱託まで勤めることができたのも、絵本センターでの学びが、大きく影響したと思っています。

ホームページより、絵本センターのこと、事業案内、講座についてなど、詳しい内容が分かりますが、一応、下記に紹介いたします。
絵本センターで学んだこと、また思い出については、別途書き込みいたします。

●特定非営利活動法人 絵本・児童文学研究センター
住所:小樽市色内1-15-13 大同ビル4F
   ホームページ  http://www.ehon-ej.com

絵本・児童文学研究センター開設:1989年4月。
                5月より基礎講座(全54回)が開始される。
現在:特定非営利活動法人 絵本・児童文学研究センター
    名誉会長  故 河合隼雄(臨床心理学者)
    会長    銭谷眞美(東京国立博物館 館長)
    理事長   工藤佐千夫(所長 基礎講座講師)
    名誉顧問  故 河合雅雄(霊長類学者)
          養老孟司(医学博士)

基礎講座の内容:全54回 期間は2年半、月平均2回の講座
              通信(DVD)による聴講も可能
基礎編① 成長過程と児童文学 [なぜ現在児童文化なのか・就学前・就学後]
基礎編② 児童文学の歴史と児童観[グリム民話・アンデルセン文学・日本児童文学史]
応用編① 時代と私[自然・家族・老若・色形・擬人化・自分の発見・乗り物]
応用編② ファンタジーの基礎[ホビットの冒険・モモ・ナルニア国ものがたり など]
応用編③ 生命の意味と情操的世界[動物絵本・障害児・戦争・伝記・思春期・詩]
応用編④ 人間とは[宮沢賢治・クラバート・ゲド戦記]

私が講座を受講した時は、理事長の工藤先生がすべての講座の講師をされていましたが、今は、工藤先生以外にも講師の方がいるようです。
ひとつの講座は、2週間ごとに昼、夜など時間を変えて、2回から3回行われます。自分の都合に合わせて選択できますので、働いている方もそうでない方も通いやすくなっています。
全54回の講座を終えるのに2年半かかります。
長いと思いますが、講座だけでは終わらず、その後は、専門ゼミもあり、生涯学習となりますので、気が付くと、ずっと児童文学を学んでいるといった感じです。
私は、そうでした。

絵本センターの場所は、私が通っていた時は、小樽駅から札幌とは反対の方向にバスで15分ほど行った長橋というところでしたが、2002年4月に小樽駅から駅前通りを港の方に歩いて行ったところに移動しました。札幌から通っていた方も多くいましたので、随分通うのが楽になったと思います。

基礎講座以外の内容についても紹介します。

専門ゼミ 基礎講座修了者(正会員)が受講できるゼミです:
私が受講していた時は、書籍をテキストに行っていましたが、今は、書籍以外にも特別講師をお招きしてのゼミも加わっているようです。
月一度の講座で、年間12回、毎年、新たな課題に取り組んでいます。

「昔話の深層」河合隼雄 著 (1995年)
「ソフィーの世界」 J・ゴルデン 著 (1996年)
「昔話と日本人の心」 河合隼雄 著 (1997年)
「成熟のための心理童話」 チネン 著 (1998年)
「子供の本を読む」 河合隼雄 著 (2000年)
・・・
「生きることの意味-愛の本質」 (2020年)
「中年クライシス」 (2021年)   などです。

特別講座 「深層心理学入門」(旧「ユング心理学入門」):
・深層心理学の基礎
・防衛機能説
・元型論
・タイプ(性格)論
・コンステレーションと共時性

特別講座 「夢の構造」
・フロイト編
・ユング編
・日本人の基礎心理-日本の神話

●その他の行事 その一 「文化セミナー」
第1回文化セミナー [大人への児童文化の招待] 1992年6月14日
   講師  河合隼雄/神沢利子/佐野洋子/たかしよいち
第2回文化セミナー [日本語と日本人の心] 1995年11月26日
   講師  河合隼雄/谷川俊太郎/大江健三郎
第3回文化セミナー [いのち] 1998年11月15日
   講師  河合隼雄/梅原猛/松井孝典
第4回文化セミナー [家族] 1999年11月28日
   講師  河合隼雄/谷川俊太郎/山田太一
第5回文化セミナー [絵本の可能性] 2000年11月12日
   講師  河合隼雄/柳田邦夫/松居直/斎藤惇夫
・・・
第24回文化セミナー [はじまりの日] 2019年11月17日
   講師  養老孟司/斎藤惇夫/アーサー・ビナード/茂木健一郎
第25回文化セミナー [明日の物語] 2021年11月23日(無観客ライブ配信)
   講師  養老孟司/斎藤惇夫/茂木健一郎/アーサー・ビナード/ヤマザキマリ

(ホームページより)
文化セミナーの第1回目は1992年。本セミナーは、絵本・児童文学研究センターの名誉会長、故 河合隼雄先生をお招きして始まった催事です。毎回、日本を代表する文化人にお越しいただき開催しております。
本セミナーの歴代講師を鑑みますと、大都市でなければ開催できないように感じられますが、小都市、小樽にて開催することに意味と意義がある、と常々、河合先生は強調しておられました。理由は、大都市への一極集中化の弊害をいかに是正するかが課題でした。その一つとして、小樽発文化セミナーの役割は大きいと言えましょう。

●その他の行事 その二 「児童文学ファンタジー大賞」
第1回ファンタジー大賞 1994年11月募集~1995年10月最終選考会
   大賞 「裏庭」
   佳作 「タートル・ストーリー」
第2回ファンタジー大賞 1996年9月最終選考会
   佳作 「なるかみ」
第3回ファンタジー大賞 1997年9月最終選考会
   大賞 「鬼の橋」
・・・
第27回ファンタジー大賞 2021年9月最終選考会
   佳作 「なまこ壁の蔵」
第28回ファンタジー大賞 作品応募中(2022年3月31日まで)
・この応募で終了することが決まりました。

(ホームページより)
本企画はファンタジー文学の優秀作品を公募することにより、児童文化の新たな模索と後世に伝承しうる作品の創造を目指し、わが国の文化向上の一助となすことを目的として創設されました。
時代の推移とともに価値観・人間観の多様化が進行している現在、広く書き手を募ることにより、新たな可能性を有した文学の創出を期待するものであります。そのために最終選考の各委員も幅広いジャンルからお迎えし、上記の要望に応える体制を整えました。
本大賞は、福音館書店・各新聞社等の後援・協力によって、毎年継続されるものであり、これを支える実務運営体制に於いても小樽市民各界各層の協力を得ることができました。  本大賞は絵本・児童文学研究センターの公益事業であり、これによって本センターが利益を得るものではありません。
あくまでファンタジーの新たな創造を通して、児童文化の可能性を追求するとともに、後世に伝承しうる作品発表の場所を提供するものであります。

(北海道新聞より)
NPO法人絵本・児童文学研究センターは、主催する「児童文学ファンタジー大賞」を来年の第28回を最後に終了すると決めた。臨床心理学の故河合隼雄さん(元文化庁長官)らの協力を得て創設し、新作ファンタジー長編小説を全国から公募する国内でも珍しい文学賞だったが、運営側の高齢化などで継続が難しいと判断。「一定の役割を果たした」として幕を下ろす。

●その他の行事 その三 児童図書相談士検定

(ホームページより)
現代の複雑な社会において、子どもたちの心をいかにケアするかは大きな課題である。そのためのひとつの窓口として書籍文化はかかせない。しかし、現今の出版洪水の状況下では良書の選択そのものが困難である。そこで子どもの年齢や家庭環境をも考慮しつつ、良書選択のアドバイスが必要とされる。そのアドバイスの基準として企画されたのが「児童図書相談士」検定である。
アドバイスと言っても単純なことではない。そのためには、書籍の知識のみならず、ある程度の発達心理学や深層心理学的観点、思考としての哲学性、さらに現在の国際化の状況を踏まえての「比較文化論」など、多様な観点を踏まえなければ現実的なアドバイスとはなりがたい。このような意味で数多くの読書相談士を養成することは現代の文化的課題として重要であり、急務の事業と考える。
また、上記の意味においての「児童図書相談士」は、子どものみならず、青年期・成人期・熟年期・老年期の各世代においても重要な役割を期待される。それは現代の世代構成を鑑みれば、自ずと生涯学習の観点が要求されるからである。そのため、「児童図書相談士」は、児童文化と生涯学習との接点を、今後、新たに創設される学会(「児童文化と生涯学習」学会)において模索・研究する中核を担う存在として期待されるものである。

以上、絵本・児童文学研究センターの紹介でした。

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