映画「野球少女」を観ました—韓国映画。野球をやりたいだけなのに。ピュアでひたむきに今を生きる姿は、関わる人たちの応援と繋がっていました。

ごきげんよう

映画「野球少女」を観ました。

野球をやりたいだけなのに、女性というだけでハードルが高くなってしまう。
プロ選手に女性はいないとか、トライアウト(プロテスト)も受けさせてくれないとか。
ハードルを飛ぶことすらさせてもらえないのです。
「私の未来は誰にも分からない、私でさえ。」
どんな対応をされようとも、野球をやりたい、プロになりたいとひたすら練習に励む主人公の少女スイン。
あきらめない心と夢を追いかける勇気が前へと進ませてくれる青春映画です。
野球の映画ですが、野球のシーンは少なく、スインがプロを目指す過程が描かれている映画です。

ハッピーエンドなのですが、スインだけががんばったから扉が開かれたわけではなく、スインに関わる人たちが、スインの夢を直接的・間接的に応援したから、ハードルを越えることが出来、ゴールできたと思いました。

そこには、気になるいいセリフがありました。

また、全体的に暗すぎないところもよかったです。スインは、プロへの道を順調に進んでいけないことに対して、感情を爆発させたりすることはありません。
大抵の人は、男女差別に不満を持ったり、怒ったりすると思うのですが、スインは、固定概念に縛られることはないのです。ただひたすら実力アップのために練習するのです。
そのひたむきさが周りの人を動かしたようにも思いました。
回りの人たちからの応援というより、スインの「プロ野球選手になる」という夢を追いかけるピュアな気持ち、ひたむきな気持ち、が応援させたのだと思いました。

あらすじは、引用です。

<あらすじ>
最高球速134キロを誇り、<天才野球少女>とたたえられてきたチュ・スイン。高校卒業を控えたスインは、プロ野球選手になる夢を叶えようとするが、<女子>という理由だけでプロテストを受けられない。母や友だち、野球部の監督からも、夢をあきらめて現実を見ろと忠告される。「わたしにも分からないわたしの未来が、なぜ他人にわかるのか」。そんな折、かつてプロを目指すも断念したチェ・ジンテがコーチとして赴任し、スインの運命は大きく動き出す。
<ネットより>

・キャスト
チュ・スイン: イ・ジュヨン  (プロを目指す天才野球少女)
チェ・ジンテ: イ・ジュニョク (プロになれなかった高校野球部コーチ)
スインの母:  ヨム・ヘラン  (厳しい生活を送る一家の稼ぎ手)
スインの父:  ソン・ヨンギュ (娘を信じている万年受験生)
イ・ジョンホ: クァク・ドンヨン(スインのチームメイト、先にプロになる)

・監督・脚本  チェ・ユンテ

主人公は高校生のスイン。
彼女はプロへのスカウトを期待していましたが、選ばれたのはチームメートのイ・ジョンホでした。
それでもプロになりたい彼女は、一人で猛練習します。

・気に入ったセリフ① 
新しくやって来た高校野球部コーチのジンテは、始めは女子のレベルにプロは無理、現実を見ろ、諦めろと冷たいです。
でも、必死に頑張って練習する彼女を見て、監督にあのままでは倒れてしまうと言います。監督は、諦めて止めていくからほっておけと言います。
諦めないという彼女をトライアウト(プロテスト)に参加させようと頼み込みますが断られます。
その帰りの会話です。
スイン「なぜ私をトライアウトへ?」
コーチ「参加したいんだろ。参加して現実を知れば早く諦めるはずだ。」
スイン「子供の頃、周りの子たちは、“早く大きくなってプロになりたいと”
   私は、違いました。高校で野球はできないと言われたから。でも、それはウソでした。
   私の未来は誰にも分からない、私でさえ。
   昨日、監督から電話が、、、」
コーチ「何だって?」
スイン「“コーチに練習を頼んでみろ”“さからうな”と」
コーチ「どう助けたらいい?」
スイン「分かれば私もコーチになっています」
コーチ「プロに行けなかった俺でもいいのか?」
スイン「代わりに行きます。それで十分」

ジンテはスインのコーチをすることになります。
コーチとの二人三脚が始まります。
彼女は豪速球を目指していましたが、そうではなく彼女の長所をのばし、打者に打たれない投手を目指します。

・気に入ったセリフ② 
チームメートのジョンホは、高校最後にプロにスカウトされます。
韓国の部活は、プロに行くための養成場的なところがあるようです。
ジョンホは、スインの中学生からのチームメイトでいっしょに野球を練習してきました。
彼女が「野球少女」と話題になっていた頃は、彼女の方が手が大きく、背も大きかったのですが、いつしか彼の方が大きくなって、実力も上になって、彼女ではなく、彼がプロの道に進むことになります。
コーチのジンテがジョンホと話をする時があります。
ジョンホが言います。
「高校へ行ったら、野球を辞めるつもりだった。才能がないから。でも、彼女の頑張りに、いっしょに頑張った。負けたくないから頑張ったんです。」
彼女の頑張りが野球を続けるエネルギーになっていました。
ジョンホは、いつも彼女に優しいまなざしで優しく声をかけます。
ライバルではありますが、いつも彼女を応援していて、練習の相手もします。
精神的には彼女より弱い感じがしますが、かっこいい青年です。

ジョンホは、スインに爪の保護のためにとマニュキアをプレゼントします。そして、彼が言います。「知ってるか?リトルリーグから今まで野球を続けているのは、お前と俺だけ」
そう言った彼に、カバンからボールとペンを出しサインを求めるスイン。

・気に入ったセリフ③
お父さんがお母さんに言うセフリです。
お父さんは、宅地建物取引士の資格を取るために勉強していますが、試験に落ち続けています。
今回は大丈夫だからと言っていたのですが、実は不正試験を斡旋する人に依頼していて、警察に逮捕されてしまいます。すぐ、釈放されるのですが、そんなだめだめなお父さんが、野球を諦めないスインに腹を立てるお母さんに言います。
「俺が稼ぐから放っといてやれ。俺に腹を立ててるんだろう?スインを怒ったらダメだ。スインの野球を見たか?高校で野球をしている姿を一度でも見たことがあるか?スインは、野球部にいるだけで苦しんでる。だから親のお前と俺が力になってやらないと。止めないで後押ししてやるんだ」

・気に入ったセリフ④
スインがトライアウトを受けることになり、お母さんが見に行きます。
お母さんは野球のことを何も知りません。
終わった後にコーチと会話をします。
母「こんなふうにテストを受けるのが果たしていいのかどうか。希望だけ与える気がするし、女の子にできるのかどうかも」
コーチ「プロのチームに入団できる可能性は低いです。」
母「はい?」
コーチ「スインが女子だからでなく、男子も同じようにプロになるのは難しいです。
   それでも信じてチャンスを与えては。
   スインが“できない”と言わないのに周りが“できない”と決めつけてはいけないから」

・気に入ったセリフ⑤
プロテスト後、スインは球団に呼ばれます。その時の球団の提案は、運営組織契約書で球団のフロントで女子野球部の事業を担当してほしいというものでした。
そして、野球経験の長所を生かしてほしいと言われます。
その内容に納得しないスインは言います。
「野球は難しいスポーツです。速いか遅いかじゃなく打たせないことが大事なのです。女性か男性かは長所でも短所でもない、私は回転数が高い。ナックルと組み合わせて打者のタイミングを外せます。他の選手より力が弱くて球速は遅い、それでも勝てます。遅くても勝てるんです。それが私の長所です」

・気に入ったセリフ⑥
改めて選手契約が行われます。その場にはお母さんとコーチがいます。お母さんの対応が面白いです。
選手契約書を提示する球団の社長。
社長「球団からの契約条件です。まず契約金は6000万ウォン。」
コーチ「お母さん、悪くない条件です。プロの2軍としては。」
母「プロですか?」
コーチ「はい、スインはプロになるんです。」
「野球さえできればうれしいですが、6000万ウォンは、、、、うちは家計が苦しくて、、、、」
社長「はい?」
お母さんは契約金を払うものだと思ったようです。
コーチにそれは球団から渡されるものだと聞き、驚き、涙を流します。

最後に、
ピュアでひたむきに今を生きる姿は、人を動かします。プラスに動かします。

まだ、学生で親のすねをかじっている立場なので親の存在が第一優先なのですが、それだから自分のやることはただひとつだけ、夢を追いかけるだけです。
女性が野球をするという映画ではなく、少女が野球をする青春映画なのです。
なんだかほんとに、青春だなあと思った映画であり、いいなと思った映画でした。

もう一つ付け加えると、
親が子どもにしてあげることは、チャンスを与えること、信じること、力になってあげること、そういうことが大切なんだということを教えてくれた映画でもありました。

もうひとつ。
スインが家に帰る前にお店の前でアイスキャンディーを食べるシーンがあるのですが、これは伏線なのですが、その時後ろに見えた月が満月でした。(満月ありがとう)

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