ごきげんよう
小樽からのお便りで「ふきのとう」の写真が届きました。
りっぱな「ふきのとう」です。
雪解けの後に顔を出している「ふきのとう」です。
所沢に住むようになって25年経ちますが、「ふきのとう」を見たという記憶がありません。
「あら、ふきのとうだわ」という瞬間がなかったように思います。
小樽にいた頃は、「ふきのとう」は春を感じさせてくれるものでした。
学生の頃、小樽から札幌へ電車で通っていたのですが、道路にはもう雪がなくても、人が入らないようなところの雪山はまだ溶けずに雪が残っていました。
そういう時期では、電車の窓から見える土手にも、まだたくさんの雪が残っています。
その雪の端の方や雪山の割れ目から土が見え始めると、そこに「ふきのとう」が顔を出すのです。
「あ、見つけた」、「いくつもある」、「いっぱい出てきた」と、 どんどん顔を出す「ふきのとう」を見て、春を感じていたました。
「ふきのとう」の若い花芽が、山菜としてよく知られているフキノトウ(蕗の薹)です。
蕾が開いて大きくなると、「フキ」になります。
山菜として食べておいしいのは、蕾が膨らんでいて、葉が少し閉じている状態のものになります。花が開いてくると苦味が増します。
雪が積もっていた場所から出てくる「ふきのとう」は、柔らかくとても美味しいと言われています。
小樽にいた時は、知り合いに山菜採りをする人がいて、毎年、タケノコ(笹竹)、うど、フキ、などを持ってきてくださいました。
その中にフキノトウもあり、母はつくだ煮(ふきのとう味噌だったかもしれません)にしていました。
苦味がありましたが、食卓に出ると食べていたのを思い出します。
それから、「ふきのとう」というと思い出すことがあります。
いつも採ってきてくださる方が、フキノトウを乾燥させて持ってきてくれたのですが、そのフキノトウを、父はいぶして、その煙を吸っていました。
喉によいらしいのです。
父は、風邪をひきやすく、風邪をひくと必ず咳が出ていました。
慢性的に気管が弱かったのですが、フキノトウを乾燥させてそれをいぶしてその煙を吸うと喉にいいということを聞き、やっていたようです。
私の記憶では、2年間ほどの春の行事だったように思います。
本当に喉によいのかどうか、効果があったのかどうかは知りません。
長続きしていませんので、効果はなかったのかもしれません。
ホント、昔の話で、今、こんな話をすると引きますね。
「ふきのとう」の写真から、そんなことを思い出しました。