天然の牡蠣取りに行った思い出

ごきげんよう

北海道、小樽での夏キャンプについて書いたのですが、その頃の忘れもしない夏の思い出があります。

それは、天然の牡蠣を取りにいったことです。
小樽は湾になっています。ちょうど対岸に浜益というところがあります。いつもキャンプに行くと潜る一人が、天然の牡蠣があるから取りに行こうと提案してきました。場所が少し遠いのでどうしようか、時期は、8月末か9月に入っていたかもしれません。お盆の後だったので潮の流れが早くなっているけど大丈夫だろうか、でも、水は温いので潜りやすいとか、いろいろ意見が出たのですが、牡蠣が取れるという魅力がいろいろな危険条件を吹き飛ばし、結局行くことになりました。

小樽からは海岸に沿って日本海オロロンラインという国道231号線があります。目的地までは91kmあり、車で2時間ほどかかりました。

到着したところは砂利海岸で、ビーチの雰囲気のあるところでしたが、私たちの他には誰もいませんでした。それは、もう、季節外れだったからです。
すぐ海に入りました。砂利の海は少し沖に進むと、足元は岩場でもう牡蠣が敷き詰められていました。私は、いつものように浮き輪をつけて海に漂っているだけなので海の中は見ていませんが、深さは、私が背伸びすると底に足先が付きました。4人ほどが潜って牡蠣取りを始めました。岩についている牡蠣取りは、大きめの頑丈なドライバーか、ごっつい釘抜き、バールというものを使って剥ぎ取るといった感じです。

潜っている人たちは調子よく取っていたのですが、ふと岸を見ると始め潜っていたところより遠くなっている感じがありました。あれ?岸が遠くなっているよね?もしかして沖に流されている?
背伸びして底を確認してみると足が付きません。エー!!!。
私の上司の声がするので岸を見ると、「おーーい。もう戻ってこーーい。岸にあがりなさ~~い」と叫んでいます。私も海面に顔を出した人に「沖に流されているよ。あぶないから戻りましょう」と声かけしましたが、聞こえているのかいないのか、なんの反応もなく、潜るのに集中しています。でも、みんなより沖の方に行っていた一人が、「水の温度が変わっている。急に深くなっているからこの先は危険だよ」と教えてくれて、やっとみんな岸に戻ることになり、それ以上流されることなく無事に海から上がりました。
私は、結構焦っていたのですが、他の人たちは全然気にしてなく、潮の流れも水温の変化も急に深くなっていることも、海を知り尽くしている人たちにとっては想定内のことだったようです。何事もなかったように取ってきた牡蠣の処理に一生懸命になっていました。

天然の牡蠣は、取るのも大変ですが、中身を出すのも結構大変でした。でも、生で食べたり、焼いたりして、全員、牡蠣に満喫したのでした。

私は、今もその時の緊張と不安を鮮明に覚えていますし、その時を境に潜在的に持ち合わせていた海の怖さがより大きくなった気がします。
海に入る回数も減りましたし、入ったとしても砂浜の海水浴場で自分の足で立てないところへは行かなくなり、冒険はしなくなりました。
思い出すたびに海の事故にならなくてよかったと思うのでした。

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