ごきげんよう
絵本「はらぺこあおむし」の作者 エリック・カールさんが5月23日に亡くなったと報道されました。
作者の名前まで憶えていなくても、「はらぺこあおむし」は、絵本の世界では知らない人はいないと言っても過言ではないでしょう。
絵の色使い、食べ物を探すあおむし、絵本に空いている穴、子どもたちに人気の絵本です。私は、カラフルなあおむしが描かれているクリアファイルを持っていましたが、いろいろなグッズも出ていました。
食べ物を食べて少しづつ大きくなったあおむしは、さなぎからきれいな蝶々になります。
この絵本は、小樽時代に通っていた絵本・児童文学研究センターで学んだ一冊です。
二歳後半~三歳児対象の絵本として紹介されました。
子ども心の中には、生まれながらにして自分が成長したいという願望が渦巻いています。この願望が変化している作品が、この『はらぺこあおむし』です。
この作品の息の長さは、成長願望の遊びと、そして「食べること」という身近ないとなみがマッチすることによって成されたと言えるでしょう。
余談になりますが、食べ物の登場する絵本は食前に読み聞かせるのがいいでしょう。「たくさん、好き嫌いなくご飯をたべなさい!」と言わなくても、自然と唾液が出てくるものです。反対に、就寝前は避けたほうが無難です。
([すてきな絵本にであえたら] 工藤佐千夫著 第一部五感の発達 より引用)
もうひとつ、動物と食べ物の絵本について引用したいと思います。
乳幼児は動物絵本が大好きです。それは動物の仕草や感覚が自分のそれと「見立て」しやすいからです。また、脳の発達との関連においてもそのことが自然だと言えるのです。人間はこの地球上で最も脳を進化させた動物です。そして進化の過程で生じた様々な脳の発達段階をひとりの人間がすべてもっているのです。それは人間の進化自体が、いわゆる個体発生や系統発生を繰り返してきた結果とも言えましょう
また、人間の生存欲求のひとつに食の欲求があります。食がなければ人間の生命は維持できません。そのため、この世に誕生した子どもは、即、食(母乳)との出会いを経験するのです。食の体験は子どもでも豊富です。そのため、食べ物を扱った絵本も子どもにとっては身近な世界になるのです。ですから、動物と「食べ物」がドッキングしている絵本があれば、鬼に金棒かもしれません。
([すてきな絵本にであえたら] 工藤佐千夫著 第一部五感の発達 より引用)
絵本・児童文学研究センターで、たくさんの絵本、たくさんの児童書、児童文化に関することをたくさん学んだことを思い出しました。