本「あしながおじさん」大好きな本です。

ごきげんよう

本棚を整理していましたら、「あしながおじさん」が目に止まりました。
しばらく本棚に置かれたままの本でしたが、懐かしと思い久しぶりに読みました。

主人公の少女ジュディが、「あしながおじさん」(お金持ちの紳士)に毎月お手紙を書くことになりました。
そのお手紙が本文なのですが、お手紙に返事はなく、一方通行のお手紙でした。
高校までは孤児院で生活し、その後、大学進学の資金援助をしてくれたのが「あしながおじさん」なのです。
お手紙には、大学1年生から卒業するまで、ジュディの学生生活やお友達のことなどが書かれています。
学校がお休みの時のバカンスや恋心も含まれていて、ロマンチックで楽しい物語です。
また、楽しい話だけでなく、孤児院での生活しか知らないことで苦労することや家族がいないことで寂しく思うことなども書かれています。
でも、ジュディはいつも前向きに生きていて、とても可愛らしいです。
私は、若いころから何度も読んでいますが、読むたびに、私もこんな可愛い心を持ちたいと思いましたし、ジュディの素敵な性格に感動している自分がいました。

あらすじ: (ネタバレがあります)(ネットより)
孤児院育ちのジュディは、ある日、院長に呼び出されて部屋に向かう途中、理事が帰るところを目撃しました。その人の影は、車のヘッドライトによって引き伸ばされて壁に映し出され、まるでアシナガグモのようでした。
院長室に入ると、その理事に文才を見込まれて、作家になる勉強のための大学進学の資金援助を受けられることになったとジュディに告げられます。
条件は、その理事に毎月手紙を送ること。
大学に進学したジュディは、過去に満足に受けられなかった教育を受け、作家を目指して小説を書き進めながら、自身の学生生活の様子を「あしながおじさん」と称した理事に送り続けます。学んだこと、読んだ本、周囲の人々のこと、友人の親戚のジャービス・ペンドルトンとの交流、自らの小説の出版のこと等など、、、、、。

あしながおじさんは素性を隠したままで、特別な場合を除いて、リアクションをくれることはありませんでした。
次第に、小説を応募したり、家庭教師のアルバイトをしたりしながら、ジュディは自立を目指していきます。
大学卒業後のある日、ジャービス・ペンドルトンからプロポーズを受けたジュディ。ですが、自分が孤児院育ちであることに引け目を感じ、相手を愛していながらもそれを断ってしまいました。悲嘆に暮れ、そのことをあしながおじさんに手紙で知らせると、会って話を聞くという返事が返ってきます。
二人が対面した後日、ジュディがあしながおじさんに宛てた手紙には、あしながおじさんの正体がジャービス・ペルドルトンであったこと、そしてふたりが「もうすぐ一緒になる」ことが綴られていました。

登場人物:

ジェルシャー・アボット(ジュディ): 主人公。孤児院で高校まで過ごし、あしながおじさんの援助によって大学進学して未来を開いた女の子。空想家で文才に長けている。

あしながおじさん: ジュディの作文を見て才能を見出し、進学金の援助をしてくれる裕福な男性。正体が謎につつまれている。

サリー・マクブラント: ジュディと同じ学校の親友で心優しい女の子。

ジュリア・ベンドルトン: ジュディの同級生の裕福な女の子で、サリーとは対極に裕福を鼻にかけている高飛車な女の子。

ジャービス・ペンドルトン: 級友ジュリアの叔父で、度々学校や農園を訪れて、ジュディに親切にしてくれる青年男性。

感想①:ジュディについて
ジュディは、高校を卒業するまで孤児院で生活していました。
成績はよく、特に国語が優秀でした。作文も褒められました。
それらを認められ、孤児院の理事の方から作家になるように大学に行く資金援助を受けることになります。
一つ条件があり、それは月に一度大学生活についてお手紙を書くことでした。
最初のお手紙は、ご挨拶、あなたのことを「あしながおじさん」と呼ぶことにしたことなどが書かれています。それはとても素直な文章なのですが、大学生としては少し子供っぽいように思いました。でも、それが可愛らしさに繋がっています。

孤児院育ちのジュディは、大学では知らないことばかりでした。
ならったことがないたくさんのことを、知っているのが当たり前みたいに思われるのが、大学の困ったところで、時々、穴があったら入りたいような思いをすると書いています。
また、私は、外国人です。みじめな気持ちです。私は、人なみでいたいんです、とも書いています。

大学の寮で同じ階にいるのは四年生の先輩とジュディと同じ一年生が二人。
サリー・マクブラントは、好意的で仲良しでよく登場します。
もう一人は、ジュリア・ラトレッジ・ペンドルトン。名家の出で、サリーほど身近な存在ではないようですが、そのジュリアの叔父さんを好きになります。
ジュリアは、お友達というより、叔父さん繋がりでよく名前が登場します。

ジュディのお手紙は、一方通行で自分の話を書いているだけですが、その内容は、読む側には、笑みを浮かばせたり、ほっこりさせてくれる内容でした。
自分の手紙で少しでも幸せな気持ちになってもらえるように考えていました。
ジュディは、豊かな想像力があり、相手に対して温かな思いやりを持った少女でした。

自分が孤児院の出身であることを隠しながら大学生活を送りますが、卒業する頃には美しい女性と成長しています。
手紙の中で、ジュリアの叔父さんのことをジャービーぼっちゃんと書いています。
大学一年生の時に初めて会った頃の淡い想いが徐々に恋へと実っていきます。
大学を卒業し、ジャービーぼっちゃんから結婚を申し込まれますが、孤児院出身であるという理由から断ってしまいます。
ところが、ところが、最後はハッヒーエンドです。

感想②:あしながおじさんについて
「あしながおじさん」は主人公ジュディが大学に行く資金援助をしてくれた理事の方です。
ジュディが孤児院の院長ミセス・リペットに呼ばれて院長室に行った時、理事の方が帰えろうとしているところでした。ジュディは、ちらっと見て「のっぽ」だと思いました。
車のライトでできた長い足と手の影を見て、アシナガグモがふわふわしていると思いました。
その方が「あしながおじさん」ですが、名前は出さない約束でした。
そして、約束通りその方に毎月お手紙を書くことになりました。

大学一年生になり、最初の手紙は自己紹介でした。
そこに、あなたのことを「あしながおじさん」と呼ぶことにしたことが書いてあり、
また、私の知っているあなたは、
①あなたはのっぽである。
②あなたは金持ちである。
③あなたは女の子がきらいである。 と書いています。

「あしながおじさん」はそういう印象の人でした。

「あしながおじさん」の本の紹介について調べていると、なぜ理事の方は正体を隠したのかということが出てきます。
本の中には明確なことは書かれていないようですが、そもそもそういう時代だったからだと思います。
時代背景としては貧困があった時代で、裕福な人が支えるということが行われていた時代でした。
隠すというより名乗らないことが普通のことであったということです。
今までは、男の子だけに援助していて、女の子であるジュディに援助することになったのは初めてのことだったそうです。

ジュディは、「あしながおじさん」に定期的にお手紙を書きました。
「あしながおじさん」からは、返事はなく、たまに秘書から伝言のようなものが届くだけでした。
でも、クリスマスプレゼントに小切手をくれたり、学校がお休みの時にどこで過ごすのかを指示したり、お見舞いの花束をくれたりしました。

ジュディには、家族がいませんので、「あしながおじさん」が家族になります。「あしながおじさん」はひとりですが、家族のみんなになります。
本の中で、あなたひとりの中に私の家族みんながいる、と書いています。

感想③:ジャービス・ペンドルトンについて
ジュディが大学生の時に好きになる男性です。
級友のジュリアの叔父さんで、度々学校や農園を訪れて、ジュディに親切にしてくれる青年です。
ジュディは、この青年に恋をします。
大学一年生、二年生、三年生、四年生 と、徐々に、好きで好きでたまらなくなっていきます。
その恋心が「あしながおじさん」への手紙に書かれていて、読み手の私にもその切ない気持ちが伝わってきます。
ジュディは、「あしながおじさん」のお手紙の中で、その青年のことをジャービーぼっちゃんと書いています。

逆にジャービーぼっちゃんは、いつジュディのことを好きになったのかなと思いました。
初めて会ったのは、大学1年生の時です。
ジュディの手紙を読んで(「あしながおじさん」に送られた手紙のことです)興味を持ち、会ってみようと持ったのではないでしょうか。そして、実際会ってみると可愛らしく魅力的だったため、一目ぼれしてしまったのではないかと思います。
ジュディが大学の中を案内したのが、ジャービーぼっちゃんで、ジュディが初めて男性に心ときめいた瞬間であり、ジャービーぼっちゃんの方も同様にこの時に心ときめいたのだと思います。
ジャービーぼっちゃんも好きで好きでたまらなくなっていくのです。
ジュディの手紙から、可能な限り会えるようにスケジュール調整しているジャービーぼっちゃんの様子がわかります。
わざわざニューヨークに行ったり、いつもと違って愛想がよかったり、夏にジュディには別の方々から山荘へのお誘いがあった時も、去年と同じロックウイローに行くことを指示したり。
ジュディの側にいたいという、そういう気持ちがあったのだと思います。

感想④:最後はハッピーエンド
あらすじのところに書きましたが、「あしながおじさん」とジャービーぼっちゃんは、同じ人です。
このことを知らないまま本を読み進み、最後にその事実が分かるとジュディの驚きと同じ状態になります。「あしながおじさん」に会いに行ったのに、部屋の中にいたのはジャービーぼっちゃんで、頭の中がごちゃごちゃになり、固まってしまいました。
次の日のお手紙に、なにがなんだかわからなかったと書いています。

最後のお手紙は、長い長いラブレターです。
その前のお手紙は、ジャービーぼっちゃんのプロポーズを断ったことを報告する内容です。大好きなのに断ってしまい、心が不安定になっているジュディ自身のことが書かれています。
ジュディが4年間の大学生活を終え、卒業した後のことです。

「あしながおじさん」とジャービーぼっちゃんが、同じ人だと分かっていて、卒業後のその部分を読んでも、プロポーズを断った時の切なさは刺激的ですし、ラブレターは、キュンキュンですし、何度読んでも心が躍ります。

ハッピーエンドについては、最後のお手紙に次のように書かれています。
<もうすぐいっしょになれるのだから。>
<おたがいのものになったのね。>

感想⑤:本について
「あしながおじさん」の本は、翻訳者が一人ではありません。
違う翻訳で違いを感じるのもおもしろいかもしれませんが、私は、谷川俊太郎さんの翻訳本しか読んだことはありません。
   原題  Daddy-Long-Legs
   作者  ジーン・ウェブスター(1876-1916年)
   国   アメリカ
   発表年 1912年

私の持っている本は、
   出版社 フォア文庫
   翻訳  谷川俊太郎さん
   画   長新太さん

その他に次の出版社から発刊されています。
   新潮文庫 ・ 偕成社文庫 ・ 
   福音館文庫 古典童話 ・ 福音館古典童話シリーズ  などなど

タイトルとURLをコピーしました