ごきげんよう
テレビで、2つの絵本がネットで話題になっていると報道していました。
それは、ウクライナ民話の「てぶくろ」とロシア民話の「おおきなかぶ」です。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降ネットでは、この絵本に関心が高まっていて、平和を願うコメントが続々と上がっているとのことです。
どちらの絵本も絵本センターで学んだものでした。
以前「三びきのやぎのがらがらどん」について書いたのですが、こちらは北欧民話でしたが、同様に民話ですので重複するところもありますが、2つの絵本について紹介したいと思います。
絵本センターでは、三~四歳児対象の絵本として紹介されました。
講師の工藤先生の著書「すてきな絵本にであえたら」より引用します。
民話には昔話と伝説とに大別され、昔話の特徴は話に一定のパターンがあり、時間と場所が不明確なのが特徴です。伝説は時間、場所、人物などがある程度あきらかなものです。就学前の子どもたちは、時間の感覚が希薄なため、昔話の方が馴染みやすいのです。
内容は単純なもので、読み聞かせをすると登場する動物たちと心理的に同一化しながら聞きいります。
「おおきなかぶ」には、多くの特徴がありますが、とくに、作品の冒頭は重要です。それは、「おじいさんが かぶを うえました。『あまい あまい かぶになれ おおきな おおきな かぶになれ』という言い回しです。もし、この言い回しが逆の展開であったらどうでしょう。『あまい あまい』という言い回しを最初にもってきたところに、おじいさんのかぶに対する愛情が感じ取れるのです。もし、『おおきい おおきい』が最初であれば、別な意味にもとれますし、子どもにとっては、『おおきい』という表現よりも、『あまい』という五感を刺激した表現の方が、より実感が湧くのです。
次に登場人物の件に入りましょう。作品に登場する人や動物の順番を辿っていくと、ある一定の配列があるとわかります。登場順を追いますと、「おじいさん」→「おばあさん」→「孫の女の子」→「犬」→「猫」→「鼠」。体の大きさが、次第に小さくなっていきます。これらの大小の変化は、物語に触れる子どもにとって、物語のリズムが、量的(体の大きさ)比較を通すことによって把握しやすいのです。
「てぶくろ」と「おおきなかぶ」とを比較しますと、量的(体の大きさ)配列が逆になっています。大→小、小→大、などの量的な比較は、子どもの遊びとして重要なのです。
「すてきな絵本にであえたら」工藤佐千夫著 より
「てぶくろ」は好きな絵本でした。
何度も読んだ絵本です。
次々と動物がてぶくろに入っていく単純な内容ですが、それが心を穏やかにしてくれます。
絵本センターで、たくさんの絵本、たくさんの児童書を読み、児童文化に関することをいっぱい学んだことを思い出したのでした。