映画「タング」の感想。—ロボットの「タング」が可愛いのです。愛くるしさが私を癒してくれました。

映画「タング」を観ました。

デボラ・インストールのSF小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を二宮和也さん主演で映画化されました。
夫役の二宮和也さんと奥さん役の満島ひかりさん、それにロボットの「タング」が登場します。
「タング」は、ご夫婦の所有ではなく、迷い込んできたロボットなのですが、
このロボットの「タング」が可愛らしいのです。
実に可愛い。
「タング」の名演技?が、この映画をすばらしくしています。
(私はそう思いました。)
ドラマは淡々と進んでいきますが、爽やかな映像と、少しメルヘンチックで、二宮さんの地でいくヒョウヒョウとした演技とタングの可愛さがとてもいいのです。
そこにかまいたちのお二人によりコメディー性が加わり、後半にはタングを作った博士に武田鉄矢さんが登場します。
そこから少しサスペンスになります。
二宮くんと「タング」が襲われ、ハラハラ、ドキドキです。

ストーリーは簡潔で分かりやすく、ほのぼのとしています。
飽きることなく最後まで観ました。
終わった後に出てきた一言は、「タングかわいい。面白かった」でした。
二宮さんの演技も素晴らしかったし、満島さんも可愛い奥さん役を演技していました。
泣けるシーンもあり、感動的な冒険ファンタジーでした。

[以下、ネタバレが含まれます]

あらすじは、ネットより引用します。

あらすじ

AIが進化し、人間とロボットが一緒に暮らす時代。
かつては医師を目指していた春日井健(二宮和也さん)は、ある出来事を機に自信をなくし、
現在はゲーム三昧のニート生活です。
弁護士である妻の絵美(満島ひかりさん)は、そんな夫の無気力に苛立ちを募らせていました。
そんなある日、春日井家の庭に旧式のロボットが迷い込みます。
背も小さく見た目もオンボロなロボットは「タング」と名乗りました。
「タング」は、ドット絵のような目がピコピコと電飾し、首はカクカク、クルクルと動き、マジックハンドのような手をニギニギしながら、テトテトと歩きます。
健(二宮さん)の言葉を真似したり、ハハハと笑ったり、何とも人間らしい。
しかし、記憶を失くしているようで、どこから来たのか分かりません。
健(二宮さん)は、リサイクルショップに連れて行きました。
そこに置いてきたつもりが、「タング」は、健(二宮さん)を追いかけてきて、健の家に入り込みます。
その時、健と絵美(満島ひかりさん)は、喧嘩をしています。
「タング」に驚く二人、そして、健と「タング」は、イライラが爆発した絵美(満島さん)に家を追い出されてしまいます。

健は、ポンコツロボットを最新のロボットに交換してもらおうと、本社のある福岡に向かいます。
製造会社を訪ねるも「適応外です」と言われてしまいます。
しかし、「タング」は、壊れる寸前でした。
中国の深センにいるロボット博士・大槻を紹介してもらい、博士のところへ行きます。
そこで、「タング」は迷子になり、見つけた時には、檻に入れられ車で連れ去られるところでした。
その車に大槻博士のGPS付の社員証を投げ込みます。
健は、なんで「タング」が連れ去られたのか分かりませんでしたが、大槻博士が「タング」は第三世代の機械学習能力を持つ、人間により近い最新ロボットなのだと教えてくれました。
二人は、「タング」を助けます。

健は、大槻博士から「タング」を作った馬場博士を訪ねなさいと言われ、馬場博士の住む島へ向かいます。
しかし、「タング」は、「タング、いきたくない。ケンと帰る」と駄々をこねます。
やっと馬場博士のところにたどり着きます。
馬場博士は、笑顔で迎えますが、「タング」はひどく怯えています。
健は、「タング」をなだめ、立ち去る決心をします。
実は、馬場博士は悪いやつで、「タング」の特別な何かを研究していて、その結果を独り占めしようとしていました。
謎の男ドクター加藤からそのことを聞き、健は「タング」を救出しに戻ります。
馬場博士と健の闘いになります。
健は馬場博士を倒しますが、その祭に「タング」が棚の下敷きになってしまいます。
なんとか助け出し、動き出した「タング」ですが、記憶がなくなっていて健を見ても反応がありません。
やっとのことで、健のことを思い出しいっしょに家に帰ります。
妻の絵美(満島さん)は、家を出ようとしていました。
その絵美を「タング」は止めるのです。
健と絵美も仲直りして、みんなで暮らすことになり、ハッピーエンドで終了です。

キャスト・他

・キャスト
春日井健(二宮和也)   研修医。現在ニート生活
春日井絵美(満島ひかり)  健の妻。弁護士。
野村桜子(市川実日子)  健の姉。弁護士
加藤飛鳥(小手伸也)  タングを追う謎の男、実はいい人
大槻凛(菜緒)     中国深センにいるロボット博士
馬場昌彦(武田鉄矢)  タングを作った博士、実は悪い人
かまいたち       タングを誘拐する人たち

・原作  イギリスの人気小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」(デボラ・インストール著)
・監督  三木孝浩 (日本版にアレンジして実写化)
・脚本  金子ありさ
・公開日 2022年8月(日本映画)

・エンディングソング  milet 「Always you」

・感想① 時代設定が近未来。映画の始まりが好きです。
ドローンが飛びかっていて、そのドローンは荷物を運んでいます。
ロボットが庭先でごみ箱を運んでいます。
ロボットとの暮らしが当たり前になっている世界です。
明るく和やかな陽の光がそそがれている風景の中に家が建っています。
夫の健(二宮さん)が登場します。ベッドから飛び起きてすぐゲームを始めます。
妻の絵美(満島さん)が登場します。裏庭に変なロボットがいると言います。
のどかな空気を感じ、こちらまで幸せな気分になります。
この最初のシーンがいいな、好きだなあ、私もこんな空間にいたいなあと思いました。

・感想② タングが実に可愛いのです。
「タング」は、あらすじのところにも書きましたが、
ドット絵のような目がピコピコと電飾し、首はカクカク、クルクルと動き、マジックハンドのような手をニギニギしながら、テトテトと歩きます。

顔の部分には目以外、鼻も口もありません。
目がいろいろに変化して光ことで、喜怒哀楽を表現しています。
その表現は、「タング」の気持ちがこちらにちゃんと伝わります。
それがとても自然に伝わってくるのです。
タングの魅力の一番は、目だと思います。

首がカクカク、クルクルと動きますが、その表現は愛嬌があり、より可愛らしさが出ます。

手はマジックハンドです。ニギニギします。
始めて健(二宮さん)に会った時、タングの目に「Unknown」と表示されます。
でも、手を握って離しませんでした。
ずっと一人ぼっちで旅をしてきたタングが人肌に触れて、暖かさを感じた瞬間でした。
私にはそう思えました。
だから、いっしょにいてほしい、と手を離さなかったのだと思います。

一番可愛いのは、歩き方です。テトテト歩きます。
トコトコでも、テコテコでもなく、テトテト歩きます。
身長が低いのもあり、その歩き方に癒されます。

しゃべり方も独特で、動き方、歩き方、しゃべり方から、命が吹き込まれているのを感じます。
「タング」は、旧式タイプのロボットなのですが、感情を持ち、好奇心があり、想像力もあります。
馬場博士が作った機械学習能力を持つ、人間により近いロボットなのです。

・感想③ 泣けるところもあり、感動しました。
泣ける場面もあります。
「タング」を作った馬場博士のところにたどり着き、健はタングを渡して帰ろうとしますが、「タング」が「ケン、いやだ。」「ケン、友だち」「やだ、ケンと離れたくない。いい子にするから」と必死に置いていかないでとうったえます。「タング」の寂しい気持ちが伝わってきて、切なくなりました。

それからその後、二宮さんの演技に引き込まれて泣けるシーンになります。
馬場博士と健とが闘い、健は馬場博士を倒しますが、その祭に「タング」が棚の下敷きになってしまいます。
なんとか助け出しますが、動きません。
やっと動き出した「タング」ですが、記憶がなくなっていて健を見ても反応がありません。
健は「タング」に泣きながらいろいろしゃべりかけます。
「タング、俺だよ。ケンだよ。」
でも、反応がありません。
「タング」は、馬場博士のところから逃げ出し、健の家の庭にたどり着き、健に出会ったことと健といろいろなところへ行ったことを思い出します。
記憶の回路が復活です。
「ケン、タング見つけた」「タング、ケン大好き」
健は喜び、優しい顔で言うのです。「俺も好きだよ」
二宮さんの寂しい表情、悲しい表情からうれしい表情への変化に、泣けました。

やっとのことで、健のことを思い出した「タング」、いっしょに家に帰ります。

その後、ラストのシーンでも泣けました。
健と「タング」が家に戻ると、絵美は家を出ようとしていました。
健は事前に報告を受けていたので仕方がないという顔をしていましたが、「タング」は絵美の前に立ち、出ていこうとするのを止めます。
そして、帰る前に健が「タング」に話しをしていた医者になるという内容の録音を聞かせるのです。
「これから医者になって、絵美に大丈夫だよって言うんだ」
また、「タング」は絵美の妊娠にも気が付きます。
「タング」により二人は仲直りしますが、このシーンは感動的で泣けました。

・感想④ 作品全体のテーマについて。
「きっと、大丈夫」という言葉が何度か登場します。
不安でいっぱいの時の魔法の言葉です。
健と絵美が出会ったのは、絵美がアソシエイトになったお祝いのパーティの場です。
絵美は仕事のことで不安がいっぱいだったのですが、健が絵美に言います。
「きっと、大丈夫」

また、健が「タング」に、「タング」が健に、それぞれの行動を通じて「きっと、大丈夫」と勇気を与えるのです。
「きっと、大丈夫」は、魔法の言葉なのです。

私も大好きな言葉なのです。
「大丈夫」は、助けられた言葉で、今は大好きな言葉になっています。
私が仕事をしていた時、定年後、嘱託として勤務したのですが、仕事内容は管理する側から一般職員に変わりました。
ルーチン的な仕事が増え、担当者から仕事を教わり、独り立ちした頃のことです。
月単位に処理する仕事がありましたが、月末近くになっても仕事がたまっていて処理できそうになく、焦ってしまった時がありました。
どうしようと不安にもなり、担当者にその旨を報告したのですが、
「大丈夫ですよ。順番に片付けていきましょう」と言ってくれたのです。
担当者は、経験上、残っている仕事と月末までの作業できる日数から問題なく終了できると判断したようですが、私にとっては、不安が解消した魔法の言葉だったのです。

そんなことがあった後に感音難聴になったのですが、その時も不安がいっぱいでしたが、
「大丈夫」が不安解消の魔法の言葉になっていました。

不安になったり、心配になったりした時は、「きっと 大丈夫」「大丈夫、大丈夫」と自分に言うと、元気づけてもらえるのです。本当です。私が実証していますから。

・感想⑤ 監督・脚本家について(情報のみ)
三木孝浩監督の他の作品、
「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(2016年)
「思い、思われ、ふり、ふられ」(2020年)
「きみの瞳が問いかける」(2020年)

金子ありさ脚本家の他のテレビドラマ
「中学聖日記」(2018年)
「恋はつづくよどこまでも」(2020年)
「着飾る恋には理由があって」(2021年)

最後に

感情を持つ「タング」は、健に出会ったことで、「ともだち」の意味や「やさしい心」を学んでいきます。
健も自信をなくして無気力に生きていましたが、「タング」に出会って大事な事を思い出すのです。
「タングはケンのため、ケンはタングのため」
ひとりではない、相手のために何ができるのか、そこに思いやりの心があります。
大事な時は辛くても逃げ出さず、前に進むことです。

「一緒なら、きっと大丈夫」「大丈夫、大丈夫」

自分に自信を失くしても、信じているだれかのために、自分を諦めないことが大事なのだということも思わせてくれた映画でした。

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